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朗読台本

【朗読台本】吾輩はご主人の猫なのである【5分】

シリーズ2作目はこちら
【朗読台本】吾輩はご主人の猫なのである、其ノ二【5分】 https://hudesaki.com/nekonanodearu 作者:珠白だんご ※こちらは寄稿作品で...

作者:珠白だんご

※こちらは寄稿作品です。台本作者は珠白(たましろ)だんご先生です。

吾輩はご主人の猫なのである/珠白だんご

吾輩は猫である
人間の朝は少しだけ時間軸が違う
ご主人の口癖は「あと五分だけ」
誰に言っているのだろうかといつも思う

その後は忙(せわ)しなく家の中を走り回るのだ
うっかりしていると餌を忘れるご主人だから
吾輩も負けじと足に擦り寄り喉を鳴らす
一戦混じえてやっとカリカリを食べられた

吾輩は猫であるからして気まぐれである
ご主人が仕事とやらに行く前になると
吾輩のお腹に顔を埋(うず)めて
「行きたくない」と駄々をこね始めるものだから
遠くを見ながら暫くの我慢
もう一度言っておくが
吾輩は猫であるからして気まぐれである

だけどご主人の本音を聞くのは
吾輩の役目なのである
渋々出かけたご主人を窓から見送って
ここからは通常の時間の流れが帰ってくる
誰にも邪魔をされずに
好きなだけ日向ぼっこができる天国だ
ああなんて自由で最高でつまらないんだろう

ご主人が帰ってきたら
今度はお経のような愚痴がはじまる
吾輩を抱きながら時折おでこをくっつけて
これがまた長いのなんのって
耳にタコが出来るほど同じことをいう
煩すぎて心地良いからそのまま続けて?
なんだかんだ言いながら
明日の準備を始めるご主人を横目に
愚痴を聞いたご褒美のカリカリを食べている

抱き枕にされながら眠りにつくのも
暑苦しいが離すのはお断りだ
吾輩は猫である
自由気ままに生きてゆくのが
ニャン生(にゃんせい)よ
これは全て吾輩の望み通りの生き方なのである

吾輩は猫である
今朝のご主人は「あと五分だけ」とは言わない
寧ろ吾輩よりも先に起きて
あーでもないこーでもないと鏡の前に立つ
なのに吾輩の餌を忘れることだけは
いつも通りなのは
いったいどうゆうつもりなのだと鳴いてやった

いつものように一戦交えたあと
やっとカリカリを食べられた
まだ全部食べてもいないのにご主人は
吾輩を抱きかかえて溜息をつく
なのに顔は笑っているものだから
暑さにやられてしまったに違いない

吾輩は猫であるからして賢いのである
小さな四角い奇妙な物を
指で器用になぞるご主人は嬉しそうだ
突然奇妙な物から音が鳴りおどろいた

もう一度言っておくが
吾輩は猫であるからして賢いのである
本当はご主人に何があったのかを知っている
前にもこんなことは何度か起きた
こうなるとご主人は
陽気な音楽のように言葉のマシンガンを撃つ
吾輩は足音も立てずに逃げようとしたが
ご主人がシュッとやってきて捕まった

何でもいいが今度は泣いてくれるなよ?
吾輩のお腹をビチョビチョにするのだけは勘弁だが
どうしてもとゆうのならば仕方がない
ご主人に好きな人ができたぐらいで
やきもちなど妬いたりしない

ただちょっと呼ばれても返事はしないし
カーテンに爪を立てて破るくらいだ
吾輩は猫である
自由気ままに生きてゆくのが
ニャン生(にゃんせい)よ
たまには吾輩の望み通りの生き方じゃない時もある

されど吾輩はご主人の猫なのである

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