作者:多希 蓉(たき よう)
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※こちらは寄稿作品です。台本作者は多希 蓉(たき よう)先生です。
ラブレター/多希 蓉
覚えていますか?
「私が死んだら、猫に生まれ変わるから」
と言っていたこと。
だから、私が死んだ後に、
あなたに特別に懐いてくる猫がいたら
飼ってほしいのです。
たとえ、その猫が、不器量でも、歳を取っていても
必ず飼ってほしいのです。
そして、ペットが飼えるお家に引っ越してほしいのです。
家の中には
キャットタワーや爪とぎを用意して下さい。
植物が多くて、窓の外が見えるととてもうれしいです。
見晴らしがよくて、新鮮な空気が大好きなのです。
食事は毎日高級なものはいりません。
でも、身体にいいものにしてほしいのです。
私もずっと健康でいたいのです。
それから、家に女性のお客さんを入れないで下さい。
きっと噛みついたり、爪を立てたりするでしょう。
そんな時は決して怒らないでほしいのです。
夜、あなたの寝室に入ってきて
ベッドの中に潜り込んでも
嫌がらずに受け入れて下さい。
いつでも一緒にいたいのです。
あなたの好きなドライブに行く時は
一緒に連れて行って下さい。
有名な場所や観光地などに行く必要はありません。
誰も知らない小さい公園で十分です。
あなたの笑顔を見るのが楽しいのですから。
時にはペットサロンに連れて行って下さい。
私もたまにはおしゃれしたいのです。
でも、かわいい洋服までは要りません。
私のそのままの姿を可愛がってほしいのです。
お仕事が忙しいからと、私を無視しないで下さい。
寂しくなって、きっとちょっかいを出すでしょう。
その時は相手をしてほしいのです。
私はあなたの注目をずっと浴びたいのです。
それから、短い時間でも一緒に遊んで下さい。
どんなおもちゃを使ってもかまいません。
あなたが私のために何かしてくれるというのがうれしいのです。
きっと私からも何か贈り物をするはずです。
もし、辛いことがあったら、私に話してほしいのです。
言葉は分からなくても、
あなたの気持ちは伝わっていますから。
私も一緒に悲しみを分かち合いたいのです。
あなたに大切な人ができたら、打ち明けて下さい。
少し、やきもちを焼くかもしれませんが、
必ず理解できます。
私が一番あなたの幸せを望んでいるのです。
将来、私が病気になり
病院の先生から、治らない病気だと言われたら
その時は、治療をしないで下さい。
私は自然にまかせて生きたいのです。
そして、私が最後に息を引きとる時は
あなたにそばにいてほしいのです。
こんな私でも、寂しがり屋ですから。