作者:珠白だんご
※こちらは寄稿作品です。台本作者は珠白(たましろ)だんご先生です。
夏のオノマトペ/珠白だんご
ジリジリと肌を焦がす太陽を
黒い雲がザワザワと覆った
雷様のお腹がゴロゴロなって
ポツリポツリと涙を落とす
ドタバタ帰った少年は
キンキンの麦茶を飲み干した
宿題やれと怒られメソメソしては
仕方なく教科書をペラペラする
べそかきカジカジ鉛筆噛んだ
水玉を弾く青々とした葉の上で
蛙がケロリと嬉しそうに鳴く
窓ではチリリンと風鈴が揺れて
キラキラと光が射し込んだ
縁側で素麺つるつるペロリと食べて
犬が遊べとわんわか吠える
女の子はルンルン気分で
バシャリバシャリと水溜まりで跳ねる
お母さんが「あらあらまあまあ」と
ニコニコ笑顔で頭を撫でた
何処からともなくわいのわいのと騒ぐ声
ジュージューと焼けるにおいに
お腹をグーグー鳴らしてる
黙々焼く人モグモグ食べる人
ゴクゴク飲んで良い気分
川を覗けば魚がスイスイ泳いでる
ジャポーンと飛び込む水の音
それを見てる君の髪がサラサラなびいて
そのまた後ろでモヤッとしてる彼がいる
サンサンと照りつけた陽も落ちる頃
ジージーリンリンと音楽隊が大合唱
浴衣姿にカランコロンと下駄が鳴る
鉄板の上ではくるりくるりと蛸が踊り
ガリガリ削った氷にシロップかけ放題
夜空ではドーンと大きく花が咲く
ちゃぷんちゃぷんと金魚が跳ねて
チラチラ覗く可愛い横顔
胸がドキドキうるさいな
いちご飴をパリパリ頬張り
パタパタと走る子供たち
手からつるんと逃げ出す水風船
石の角にぶつかってポシャンと割れた
フワフワのお土産貰ったばあちゃんが
シュワっと舌の上で溶かしてる
お風呂でザブンと汗流す
出てきたそばからじんわり肌が汗ばんだ
シャクシャクとスイカを頬張り
思い出の一枚をポンっと送信
悠々と流れる時間の中の
これ各々の夏のオノマトペ