令和に入り人は大きく二分されたのだ。リコーダーを舐める人種か、リコーダーを舐められる人種か。終始おふざけ。
アドリブご自由に。合いの手とか入れながらテンポよくやっていただきたい台本です。
〇登場人物 2:2
鈴木ゆう 26歳女。サバサバ系。ツッコミ担当。以下3名の担任教師。
川谷純也 高3男。前半ござる口調だが多分ブサメンではない。ゆうが好き。
佐藤亮太 高3男。とってもいい声が出せる。多分高身長ハイスペック。
石井可奈 高3女。明るく可愛い。多分1番性癖を拗らせている。
〇文字数 約2800文字
〇時間推定 テンポよくやって10分くらい
〇その他
4人それぞれにある程度の長文セリフあり。ゆうが終始出ずっぱりで忙しいかも。「0:」⇒ト書き。ボイコネ用に一緒に言うセリフとか無くしたので、セリフ言う人変えたりとか、一緒に言ったりとかもご自由にどうぞ。
こちらの台本は商用NGとさせていただいております。趣味の範囲でのアプリ(投げ銭あり)、YouTubeでの使用は構いません。
君のリコーダーを舐め隊/筆先ちひろ
0: 某高校の職員室。担任相手に2名の生徒が熱く語っている。川谷、佐藤の語り口調から始まる。
川谷:時は令和。大都会東京には相変わらず巨大なビルが立ち並び、人は死んだ魚のような目でゴミの中を駆け歩いている。
佐藤:真横の埼玉ではどうやら草を食って腹痛を治すらしいし、こちらに来るには通行手形がいるらしい。
佐藤:まぁ、そんなことはどうでもいい。令和に入り人は大きく二分されたのだ。
川谷:リコーダーを舐める人種か、
川谷:リコーダーを舐められる人種か、
佐藤:そう、我らは人呼んで
佐藤:君のリコーダーを舐め隊!
ゆう:「はいはいはいはい、ストーップ。ストップ。止まれ! なんだその語り口調は」
川谷:「カッコよく決めてみたでござる」
ゆう:「いや、もうツッコミどころ多すぎてツッコむ気にもならんわ。つーかお前ら二人だけなのに隊とか……」
川谷:「いや、もう一人来るでござるよ」
ゆう:「はぁ?! こんな特殊な性癖のヤローが3人も私のクラスに揃ったのかぁ?!どうなってんだよ……」
佐藤:「いやいや、ゆうちゃん」
ゆう:「鈴木先生」
佐藤:「ゆうちゃん先生」
ゆう:「す・ず・き!先生!」
佐藤:「鈴木ゆうちゃん先生!」
ゆう:「チッ、もういい続けろ」
佐藤:「実はさー、もう一人はヤローじゃないんだよね。なっ?」
川谷:「うむ」
ゆう:「はぁ?!」
石井:「やーっはろーー! 遅れて飛び出てごめんなさいっ!
石井:我こそは君のリコーダーを舐め隊の紅一点、石井可奈ちゃんですっ」
ゆう:「石井ーー?! おまっ……何してんだよ。むしろ止める側のキャラでしょーよ。ああもうヤダ、頭痛くなってきた」
石井:「ねぇねぇ、ゆうちゃん、認めてくれた?リコーダーの授業の件」
ゆう:「認めるわけあるか! だいたいそんなのしたら教育委員会やらモンぺやら、何を言われるか……
ゆう:あぁ、胃が痛い……ただでさえお受験目前の3年だというのに……」
石井:「それなら私が説得を!」
川谷:「うむ、それがしもやるでござる」
ゆう:「やめろやめろ!余計ややこしくなる。というかそもそも認めんとらんわ」
0: 石井、語り口調で始める。
石井:と、話が難しくなってきたので私、石井可奈がことの一部始終を説明しよう。
石井:私たち3人はゆうちゃんこと鈴木ゆうが担任を務める3年A組の生徒。
石井:そして、好きな人のリコーダーを舐めたいという、超特殊な性癖を持った3人組『君のリコーダーを舐め隊』なのだ。
川谷:自分達の欲望を叶えるべく、こうして担任にリコーダーの授業を取り入れるようお願いに来ているというわけでして。
佐藤:高校最後の夏、担任と生徒のリコーダー合戦が、今、火蓋を切った。
ゆう:「はいはいはいはい、さっきからお前らは誰に向かって話してるんだったく」
佐藤:「それはちょっと言えないのだぜ」
ゆう:「あっそ。もういい、はい、せいれーつ。番号」
川谷:「いち」
佐藤:「に」
石井:「さーん」
ゆう:「よろしい。では、1番から順にリコーダーの授業をする正当で、真っ当な、理由を述べよ」
川谷:「1番、川谷純也。いくでござる」
ゆう:「却下」
川谷:「えーまだなんも言ってないじゃん! 理由は?」
ゆう:「ござる口調がうざいから」
川谷:「なんだよもー、つれないなぁ」
ゆう:「はい次、2番どうぞ」
佐藤:「2番、佐藤亮太。いきまーす」
川谷:「えっ、俺マジで飛ばされんの?!」
ゆう:「うん、2番どーぞ」
川谷:「えーーーー!」
0: 佐藤、川谷にかぶせ気味で話し始める。いい声風で。
佐藤:「うっす。我々は高校3年であるからして、来年からはそれぞれ別々な道を歩むわけです。最後に思い出が欲しい!
佐藤:みんなで一丸となって何かに取り組んだという熱い思い出が!
佐藤:そのためには音楽! リコーダーで音楽を奏でようではないか!
佐藤:ゆうちゃんの指揮で、俺たちは最高の思い出を作りたいんだァァー!」
ゆう:「割と真っ当そうだけど却下」
佐藤:「なんでだよ」
ゆう:「リコーダー舐めたい下心が透けて見えるから。あといい声で言ってる風なのがうざい」
佐藤:「だぁーまじかよ、狙ったのが裏目にでたか……正直に申し上げますと、舌と絡み合ったあの子のリコーダーが舐めたいという、崇高(すうこう)な欲望のもと……」
ゆう:「はい次、3番」
石井:「石井可奈、いきまーす。あれは小学校5年のころ。私が好きだった彼が毎日咥えていたあのリコーダー。
石井:あれがどんな匂いなのか、味なのか、今でも考えると体の芯が熱くなって夜も眠れず……」
ゆう:「とまれとまれ! それ以上言うな。まさかのお前が一番やばい奴か……」
石井:「えーーなんでーー、ゆうちゃんの分からず屋。1回くらいあるでしょ? 好きな人のリコーダー舐めたいって思ったこと」
ゆう:「ないわ! つーか、お前ら3人でリコーダー回し舐めすれば?」
佐藤:「は?回し舐めとか何? 舐めてんの?
佐藤:俺らが舐めたいのは好きな人のリコーダーであって、誰のリコーダーでもいいわけではなァァい!」
ゆう:「す、すいません……ってなんで私が謝らなきゃならんのじゃ!
ゆう:頭おかしい舐めたこと言ってるのはお前らだろーが!」
川谷:「まだ舐めてません」
ゆう:「違う、そうじゃない……というか、仮にやるとしてリコーダーの調達はどうする気だ」
川谷:「あぁ、それなら俺の家が楽器屋なんで」
ゆう:「はいきたー! ゆうちゃんのターン! 川谷、お前、うちの楽器屋、経営が苦しいそうじゃないか」
川谷:「うっ……なぜそれを」
ゆう:「いいか、石井も佐藤も目を覚ませ! これは川谷が巧妙に仕組んだ罠だ!
ゆう:川谷のご実家は楽器屋。それも経営がうまくいっていない。だからお前らを巻き込んで、クラス全員分リコーダーを買わせようってわけだ。
ゆう:お前らが『リコーダー舐め隊』だったのも2年かけて調査した……で、間違いないな川谷?」
川谷:「くっ……」
石井:「そ、そんな!」
佐藤:「川谷、お前ゆうちゃんのリコーダー舐めたいって熱く語ってたのは全部嘘だったのかよ?!」
川谷:「ち、違う。いや、違うけど違くない。
川谷:始めは確かに、嘘だったけど、お前らの熱い想いを聞いてるうちに俺もゆうちゃんのリコーダー舐めたくなって……
川谷:お前ら言ってただろ! リコーダーにはその人の人生が詰まってるって、俺もそう思うようになったんだよ。
川谷:咥えて咥えて咥えまくったリコーダーの美学! それを舐める背徳感!
川谷:俺はもう立派なリコーダーを舐め隊だろ?!」
佐藤:「川谷……そうか。そうだよな! やっぱりお前は『君のリコーダーを舐め隊』のリーダーだ!」
ゆう:「なんか色々身の危険を感じるんだけど……」
石井:「ゆうちゃん、そんなこと言わないで!川谷の想いも聞いてあげて! 咥えまくったリコーダーを舐めるその瞬間、私たちは最高のエクスタシーを!」
ゆう:「聞いた聞いた。充分聞いた。とりあえず君たちの訴えは全くもって理解できません。
ゆう:以上、解散! 来週の音楽の授業はDVD鑑賞なー」
0: ゆう、立ち上がりその場を去ろうとする。
佐藤:「……ゆうちゃん、待って! 確かに、リコーダー舐めたかっただけかもしれない!川谷の罠だったかもしれない!
佐藤: でも……でも! 俺らで少しでも助けになるなら、リコーダー買ってやろうよ! リコーダーなら俺らの小遣いで買えるし。
佐藤:こいつ最近ずっと握り飯だけなんだよ……旨いもん食わしてやりてぇよ」
川谷:「さ、佐藤……お前、リコーダー舐めることしか頭にない、『いい声』が出せるだけのクソ野郎かと思ってたけど、いい奴だったんだな」
佐藤:「黙れ川谷。リコーダーケツに突っ込まれたくなかったら今すぐ黙れ。ついでに俺の善意も返せ!」
0:微妙な間
石井:「さ、三年A組!ゆうちゃんせんせー……」
ゆう:「うっ……それは私が憧れしあの大先生……」
石井:「人という字は重なりあって、そう! 人は助け合って生きるのです!
石井:ねっ? ゆうちゃんせんせー? 我々は好きな人のリコーダーを舐めるという欲望だけでなく、川谷のためを思って……」
佐藤:「そーだ、そーだ!川谷のためなんだよ」
川谷:「握り飯だけじゃなく、唐揚げ食いてぇよー、ついでにゆうちゃんのリコーダーも舐めてぇよー」
石井:「黙れ川谷、もう一押しのとこに余計な事言うな!ケツにリコーダー突っ込まれてぇのか!
石井:ゆうちゃん、おねがいーー」
0: 3人でゆうへ向かってうだうだ言う(ゆうちゃーん、たのむよー、おねがーい等)
ゆう:「ああああ、ええーい、もう! お前らでクラスを説得してこい! そうしたらやってやる!」
0:間
ゆう:かくして、高校3年最後の夏に、リコーダーの美しい音色がどこぞの校舎から響いたそうな。
ゆう:あぁ、そういえば、好きな人のリコーダーを舐められたのか否か、それは彼らにしか分からない。
ゆう:噂によれば、たとえ好きな人のものといえど臭いらしいので、まぁ……その……人生の色々のためにもお勧めはしない。
石井:『君のリコーダーを舐め隊』へ入隊希望の方は
川谷:お近くの川谷楽器店まで!
佐藤:お安くリコーダーを販売していますっ!
ゆう:変な営業すんなーー!